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初稿 2017-02-12 (日) 00:00:00 記

サヤ取り講座第16講 玉帳税務申告

今までの税務申告データ作成

今までの税務申告データ作成は、玉帳の記帳データのCSV出力をEXCELに読み込んで、該当年度の取引をEXCEL処理で選び出して作成していました。

「株式管理」マニュアル玉帳編の「税務申告」では「税務申告用CSV出力の利用方法」として次のように記述しています。(もう数年前の記述です。)

読み飛ばして頂いても良いのですが、参照例示して置きます。

其の年の税務申告用売買実績を算出するには、玉帳の売買表示が1取引1行表示(つまり買いと売りが別の行)の為、其の年内での仕掛決裁並びに、その年の決裁で其の年以前の仕掛けを含めると共に、其の年の仕掛けで其の年内に未決裁の取引を除外する必要があります。

其の為に、税務申告用CSV出力は、其の玉帳の全データーを出力してあるので、EXCEL等を利用してSORT機能で、

  • 其の年の、仕掛け・決裁を抽出
  • 其の年に決裁・その年以前に仕掛けを抽出
  • 其の年に仕掛け・その年に未決裁を除外
  • 其の年以前に、仕掛け・決裁を除外
    して、其の年の該当売買実績を選び出す必要があります。

上記データーは、納税確定申告書類の「株式等に係わる譲渡所得の金額の計算明細書」を作成する為に算出するのですが、実は当該計算書の「収入金額・譲渡による収入金額」・「必要経費・取得費」への計上は、信用取引、特に信用現引き・品渡しを行った時には、どのように金額を分類計上するのか良く判りません。

調べれば、正しい計上方法の行い方が有るのかも知れませんが、少なくも税務署から入手した限りの資料では良く判りません。

已む無く、現物も信用も買いは買いとして合計、売りは売りとして合計して申告していますが、税務署から別段の指摘をここ数年受けていないので、これで良いのかも知れません。

但し、信用取引では、「譲渡による収入金額」は、売りと買いの差額だけの細やかな金額なのに売買総額表示となり、何だか大取引を行っているような面映い感じを受けます。

今から思えば大変な手作業でEXCEL処理をしていました。

株式取引の税務申告の考え方

株式売買の損益の税務申告は特定口座の源泉分離課税を選択して証券会社任せにしている方も多いかと思います。

何しろそれが楽ですし、証券会社も特定口座で顧客を囲い込めるし、一挙両得です。

証券会社会社がコストを掛けて代行してくれると言うことは、それに応じた証券会社のMERITがある筈です。

証券会社のMERITは顧客のDEMERITと考えるべきです。

顧客のDEMERITは、矢張り貴方任せで、主体的に投資管理・資金管理・利益管理を行うことが疎かになる、そのような気構えが無くなる・育たないことが最大のDEMERITでしょうか?

第2のDEMERITは、資金的には、次年度に払えば済む税金をその都度徴収されてしまうことです。

少ない金額と言えども手元資金として年度一杯活用すべきと思われます。

証券会社は、その都度納税しているものとも思われないので、翌年3月までの自己資金として納税額を運用できます。

塵も積もればで、顧客数からは可也な金額になると思われます。

特定口座を開設して源泉分離課税を実際に行ったことは無いので、詳しくは不明ですが(知りませんが)、損失の場合はどうなっているのでしょうか。

損失申告を行って損益の通算をしなければなりませんが、多くの投資家はそのままにしているのではないでしょうか?

損益の通算の資料も証券会社が用意してくれるのかも知れませんが、仮にそうであっても個人投資家としては、自己責任・自己管理として、自分の投資実績を把握して必要な税務申告を行う気構え・心構えが大切と思います。

税務申告機能の新規開発搭載

と言うことで、今までのEXCEL方式の税務資料作成を自動処理化して、税務申告添付書類として売買実績を印刷出力する機能を作りました。

実は、既に先年にプロトタイプは完成しており、実験的に2013年度分税務申告に使用してみております。

申告書類には、売買の詳細の記述を「詳細添付の通り」として本機能のOUTPUT印刷した物を添付提出しました。

税務署からは特段のコメント無く受理されたので、ユーザー各位にも使用して貰って大丈夫と思います。

税務申告の作成

株式売買の税務申告書式には記入すべき申告項目・金額としては、「株式等に係る譲渡所得の金額の計算明細書」に「譲渡による収入金額」及び「取得費(取得価額)」という項目が有ります。

この2者の差額がその年度の株式損益と言うことは分かりますが、信用取引を行った場合、どの金額が収入金額・どの金額が取得費か明確な税務当局の指針は有りません。

特に信用の品受け・品渡しの場合は、どのように分類申告をすれば良いのでしょうかね?

で、株式の取引形態を理論的に分類して見ました。

株式取引には「現物買」「現物売」「信用買」「信用売埋」「信用売」「信用買埋」「信用品受(現引)」「信用品渡」と有りますが、税務申告の対象となる株式取引は「現物売」「信用売埋」「信用買埋」「信用品渡」の4形体に限られます。

表示例

  • 玉帳標準表示

    ZeimuSinkoku-08.jpg

  • 鞘玉帳表示

    ZeimuSinkoku-09-1.jpg

税務申告の作成方法

玉帳メニューの「管理」の「税務申告」をクリックします。

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「玉帳税務申告作成」画面が表示されます。

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対象期間の指定

「玉帳税務申告作成」画面の「開始年月」「終了年月」を指定します
終了年月の「同年」・「同月」ボタンは開始年月に対しての同年・同月です。
短縮ボタンでは、「開始年月」は月初、「終了年月」は月末が自動表示されます。

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作成実行

「玉帳税務申告作成」画面の「決定」ボタンをクリックします。

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税務申告サマリーが作成表示されます。

表示内容は、指定期間内の損益の発生する上記4形体「現物売」「信用売埋」「信用買埋」「信用品渡」毎に時系列に表示集計をし4形体の総計を算出表示します。

税務申告サマリー

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玉帳税務申告サマリーの明細

申告期間の玉帳取引を税務申告の4形体に応じて分類整理すると次の例のようになります。

現物売

玉帳税務申告表示のうち現物売を見て見ましょう。

「現物売」は正しく現物の売りです。

対応する仕掛け売買は「現物の買い」「信用の品受け」です。

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信用売埋

信用空買いに対する1対1の信用売り埋めです。

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信用買埋

例は設けていませんが、信用売埋と同じく信用空売りに対する1対1信用買い埋めです。

信用品渡

信用空売りに対する現物品渡しです。

対応する現物には、現物買いと信用品受けがあります。

信用の売りと信用品渡し・信用買いと信用品受けは、夫々同額が計上されて相殺されて、最終的には現物の売り・現物の買いが計上されます。

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集計表示

税務申告に必要な「株式等に係る譲渡所得の金額の計算明細書」の項目としては、

「収入金額・譲渡による収入金額の合計額」=「現物売り」+「信用売り」+「信用売り埋め」

「必要経費・取得費(取得価額)の合計額」 =「現物買い」+「信用買い」+「信用買い埋め」

「譲渡の為の委託手数料の合計額」    =「経費合計」
となります。

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尚、「株式等に係る譲渡所得の金額の計算明細書」の「必要経費又は譲渡に要した費用等」に「インターネット経費他」の項もあるので株式投資に係る通信コスト・プロバイダー等コスト・機材コスト等が計上できます。

これは、別途詳細明細を作成して添付してください。

税務申告サマリー印刷

玉帳の印刷機能で印刷します。

A4横書きで、玉帳印刷書式に準じた表示で印刷されます。

印刷データーが2ページ以上に渡る時は、自動両面印刷されます。

税務申告サマリーでは、1件毎の株式取引の収支・損益が表示されるので1月毎に作成印刷をして月次決算と一緒にファイィングされる事をお勧めします。

税務提出資料

「玉帳税務申告作成」画面で、対象期間を申告年の1月1日から12月31日に指定します。

「税務提出資料」ボタンをクリックします。

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税務申告に必要なデーターサマリーを1ページ75行に集計表示します。

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税務提出資料印刷

税務提出資料の印刷は、「玉帳」画面のメニュ「印刷」の「全頁印刷」をクリックします。

A4用紙に縦75行に印刷を行います。

印刷データーが2ページ以上に渡る時は、提出紙数削減の為両面に自動印刷されます。






次講座

次講は、「鞘取り講座第17講「鞘取複合チャート」?」です。

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