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トレーリングストップ
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日本でも「トレーリングストップ」注文が可能となりました。
カブドットコム証券株式会社で、2007年1月18日(木)よりの注文受付を開始しました。
「株式管理」でカブコム証券の広告をすることも無いのですが、
- 本邦最初ということを評価して、
- 又、値動きを追いかけて行く手法として評価される売買発注と思われるので、
同社の解説文より少し説明を引用します。
トレーリングストップ(Trailing Stop)とは
自動売買「トレーリングストップ」とは、
- ~ 自動修正付き逆指値注文。高値/安値に合わせてリアルタイムで逆指値を修正。 ~
簡単に言えば、だそうです。
もう少し詳しく
トレーリングストップは
- 「○円以上になれば買い」
- 「○円以下になれば売り」という逆指値注文に、
- 株価が高値/安値から指定した値幅分変動すると
逆指値注文を自動的に修正する機能を追加した自動売買です。
売り注文の場合
- 「高値-【 】円を逆指値とし、当日高値更新幅に合わせて逆指値を引き上げる」という注文になります。
リスク管理に役立つ発注方法として海外や日本でも主に外国為替証拠金取引などで知られています。
日本株市場においてはほとんど知られていない発注方法です。
一般的には売却の際に、
- 「逆指値(Stop)を、株価の上昇に従い引き上げる(Trailing)注文」のことで、
- 「下落するようなら逆指値で売却し、
- もし上昇するなら利益をより多く確保するために逆指値を切り上げる」
という目的で利用される注文です。
同証券では、
- 株式現物取引の売り買い注文
- 株式信用取引の新規返済注文 に利用できます。
トレーリングストップ発注画面
カブコム証券の発注画面です。
株価が安値を打って、上がったら買う場合の表示例です。
株価の最安値を追いかけて、逆指値の発注株価を自動的に切り下げて行きます。
逆に高値を打って下がったら売ることも出来ます。
同社が最初に開発としていますが、他の証券口座でもこの機能があるかは調べていません。
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実際の発注画面
「発注時は現在安値」とは、
- 市場の立会い開始前は、前日最安値株価、
- 市場の立会い開始後は、発注までの当日の最安値
の意味です。
発注金額欄は、この最安値と売買希望株価との差額になります。
最安値が切り下がった時は、この差額を引き摺って発注株価も切り下がって行く事となります。
もっと詳しくは
下記から同社の解説を直接お読み下さい。
可也の悪文です。
「株式管理」の売買画面改修
トレーリングストップに対応する為に、「売買画面」を改修しました。
単なる株価のメモ3つのマイナー改修です。
トレーリングストップ売買に対応する為には、最高値・最安値に対応する希望株価との差額が必要です。
上にある発注画面のコラムに入れる株価差です。
よって、決裁株価、仕込み株価。ストップ株価に対するトレーリング株価をメモする機能を作りました。
メモ機能なので、トレーリング株価差額のみならず、株価差額以外のその他の株価も記録メモとして利用できます。
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実際に使ってみました。
実際に使ってみて、それも相当使い込んでみて色々分かりました。
トレーリングストップの評価
暫く使い込んでみましたが、どうも希望する機能とは違うようです。
トレーリングストップに合う売買
昨日の最安値に応じて買おう、しかし少しでも今日の最安値に応じて安く買いたいという本日仕掛け志向の投資家向けの手法のようです。
トレーリングストップの不具合
使い込んでみて分かりましたが、「株式管理」の「薄利多売回転商い」手法から言うと2つの点で余り使い良い手法ではないようです。
- 逆指値設定のロジック
逆指値は、最安値からの逆行株価HowMuchで決まる、それが最安値の下降に応じて下方自動変更されるのがトレーリングストップであり、最大の売り目です。
しかし、ここに大きな隘路があります。
同社の説明文では正しく読み取るのは少し困難ですが、「トレーリングストップ」の使用目的は、毎日下がっていく株価を追いかけて、それが反転した時を捕らえるのが最大の用法と思います。
この点で、カブコム社の「トレーリングストップ」手法には可也疑問があります。
株価の動きを時系列的に(3日以上)追って行くようには作られていないのです。
技術的には難しくないことなのに何故作らないのか?
同じシステムを直ぐには導入できない同業他社への横並び配慮なのか?
かの証券行政指導があるのか?
簡単に説明しますと、当日決裁のDay Trader以外には余り使い道が無いようです。
理由は2つ。
1番大きい欠点は
トレーリングストップと言いながら、「トレーリングストップ」株価がトレーリングしていないことです。
同社の説明をよく読むと、「トレーリングストップ」株価は、トレーリング仕掛け時の最安値と、当日の最安値との2日間の比較で説明されています。
では、3日目にはどうなるのでしょうか?
3日目には、仕掛け日初日の最安値と、当日3日目の最安値との比較で「トレーリングストップ」株価が決定されます。
昨日、2日目の最安値、それによる「トレーリングストップ」株価はどうなったのでしょうか?
簡単に言えば無視されます・
昨日かなり深押ししたが、トレーリングストップ幅程は最安値から戻ら無かった。
今日はトレーリングストップ幅以上の高値から始まったがそこからはトレーリングストップ幅以上には上昇しなかった。
という場合には、逆指値が発効しないのです。
そのまま毎日ズルズルと戻ったら、最初の仕掛け時のトレーリングストップで発動することとなります。
最安値からの反転上昇に逆指値で仕込むというトレーリングストップのメリットは出てきません。
2番目の制約
欠点1の結果として、「トレーリングストップ幅」の設定に可也の制約が出ます。
小さな株価のチャブツキは無視して最安値から大きくリバウンドしたところを捕らえたいのですが、1日の株価変動幅以上の「トレーリングストップ」を設定すると、毎日「トレーリングストップ」をヒットしないまま値上がりしてしまい、実際の最安値からのリバウンド地点で「トレーリングストップ」が発動しないのです。
逆に1日の株価変動幅以内に「トレーリングストップ」を設定すると、1日の値動きの中で「トレーリングストップ」が発動してしまい、安値を数日掛けて追いかけて行くということが出来ないのです。
3番目の制約
チャートの昨日の株価で、目標トレーリングストップ値を算出し、当日発注をすると、市場の立会い開始後は、昨日の株価ではなく今日の最安値対比でトレーリングストップ値を設定しなければなりません。
トレーリングストップは、反転した株価差がトリガーとなる売買手法ですが、このトリガーが変わってしまうのです。
市場は動いたのだからと、株価差を保って発注すると、未だこれから仕込める未達の目標株価を設定できないこととなります。
4番目の不具合
これは、カブコムのシステム設計の問題です。
実際の使用者ユーザーでない製作者に仕様書やシステム設計書で作らせるとこのようなこととなります。
「株式管理」は、使用者が自ら製作者となって作っているので、ユーザーとしての使い勝手から製作・改修しています。
「株式管理」の使い良さの一因です。
欠点としては、株式取引の大事な局面でも、気の付いた改修に全力投球してしまい大事な好機を逃してしまう点です。
具体的不具合は、日々の最安値を追い掛けてトレーリングストップを自動設定してくれるのに、これが今幾らになっているのかが分かりません。
取引画面で、各銘柄の現在の発注内容の確認は出来るのですが、表示は最初の仕掛け時の数値しか表示されません。
これでは、今日の決裁目標値が幾らなのか分かりません。
5番目の要望
トレーリングストップに対する発注株価は成り行きしかありません。
逆指値注文では成り行きと指値が選べますが、「トレーリングストップに対して何円高」といった指値も出来ると良いですね。
で結局
トレーリングストップは、暫く試用してみて、結局使用を見合わせました。
株価のトレンドを追い掛けて、反転逆行を自動で取るには、可也無理があります。
で、元の発注方式に戻りました。
どういう発注をしているのかは、又稿を改めてお知らせしましょう。